研究内容

システインの代謝産物である結合型イオウの生理機能に関する研究

私たちは、1970年代の初めに定義された生体成分である‟スルファン硫黄“に注目して研究を行ってまいりました。1993年に、哺乳動物において、システインから生理的に硫化水素が生じるが、遊離型で存在する量は極微量で、その多くが他の硫黄原子に結合した不安定な状態として存在することを明らかにし、‟結合型イオウ”の名で定義しました。21世紀にはいって、生体に存在する第三のガスとして硫化水素が世界的に注目され、その生理活性に関する多岐に渡る報告がなされています。しかし、我々は、その働きの多くは、硫化水素ガスによるものではなく、結合型の硫黄(スルファン硫黄)の働きであると考えて研究を進めています。現在、結合型イオウの生理的存在意義にあらためて注目し、新たな汎用的な測定法の開発を行っており、今後、その応用として、様々な疾患との関わりについて解析を試みる予定です